組織人事コンサルタント
2007年より民間企業で人事労務・人材育成に携わり、現場の最前線で人材採用から社員育成・定着化、人事制度構築、キャリア支援などを経験したオールラウンダー。
外資系人材総合サービス会社、ITベンチャー企業出身。
2018年10月、寄りそうコンサルタントグループ HR LABOを立ち上げ、独立。現在は人事制度構築や採用・定着化、人材育成などを中心に、組織人事及びキャリア領域を軸として活動している。
公式ページ:https://www.yorisou-hr.com/
中小企業に転職する際の面接対策は何をすればいいの?よく聞かれる質問と回答例を紹介
転職活動をしている中で、中小企業への転職を希望している方もいらっしゃいますよね。
中小企業の選考では、特に面接が重要です。
面接は大企業と中小企業では違いますので、中小企業の面接の特徴を知って対策をおこないましょう。

中小企業に転職する際の選考の流れ
中小企業は、大企業に比べて選考回数が少ないです。
企業によって異なりますが、履歴書や職務経歴書による書類選考、次に人事担当者や配属先の上司による一次面接、最後に社長や役員による最終面接という流れが一般的です。
選考についてそれぞれ解説していきます。
書類選考
職務経歴書では、以下のポイントを重視してチェックされています。
- 志望動機と自己PRから入社の熱意や意欲を確認
- 求めている経験やスキルを持っているか
- 前職での実績
- 転職理由
経験やスキルは、数値や体験したことを含めて具体的に伝えましょう。
採用担当者がイメージしやすい文章を作ります。
応募書類をみて、採用担当者に会ってみたいと思ってもらうことが重要です。
人事担当者・現場担当者による一次面接
人事担当者と現場担当者では見ているところが違います。
人事担当者は志望動機と退職理由が矛盾していないか、簡単に辞めないか、求めているスキルや経験があるかを見ています。
例えば、前職を辞めた理由が「労働時間が長かった」とう理由で、「当社も残業や休日出勤がありますが大丈夫ですか?」に対して「大丈夫です!」という回答は矛盾していますよね。
現場担当者は、業務についたら最後までやり遂げてくれそうか、会社や部署になじめるか、やっていけそうかを見ています。
現場担当者には、入社の意欲と自己アピールをしっかり伝えましょう。
役員面接
役員面接では、主にコミュニケーション能力を見ています。
人事と現場担当者がOKを出している時点で、採用はほとんど確定している場合が多いです。
そのため、それほど突っ込んだ質問をされることはありません。
確認しておこうくらいの軽い気持ちで面接をおこなっておりますので、役員だからと緊張しなくても大丈夫です。
入社の熱意や、入社後のキャリアプランをアピールすると好印象を与えられます。
中小企業に転職する際の面接の特徴3つ
大企業と比べると、中小企業の面接には以下の3つの特徴があります。
- 選考回数が少ない
- 学歴や職歴よりも、人柄を知れる質問が多い
- フランクな面接が多い
それぞれ詳しく解説します。
選考回数が少ない
中小企業は大手企業に比べて応募者が少ないため、選考を何度もおこなう必要がありません。
企業自体も小さいため、採用にそこまで費用を使えないという理由もあります。
人事部がない企業も多いため、人手不足でそこまで時間を費やせないこともあり、選考回数が少ない企業が多いです。
学歴や職歴よりも、人柄を知れる質問が多い
大手企業とは違い、中小企業はこれから企業を成長させていく必要があります。
そのため、安定した業績を守るためのスキルや知識よりも、やる気や成長性を重視しています。
面接で良い印象を与えることができれば採用に繋がりますので、面接対策が重要になるということです。
フランクな面接が多い
人柄を見極めるためには、フランクな面接のほうが相手の本心を引き出しやすいです。
そのため、中小企業ではほとんどが大企業のような形式的な面接ではなく、フランクな面接を実施しています。
大企業と比べて役員が少ないこともあり、緊張しない雰囲気づくりがされています。
面接だからとあまり緊張せずに自分をアピールしましょう!
中小企業の面接で見られている項目3つ
大企業の面接では、マニュアル制度や評価制度がしっかりつくられています。
中小企業では採用に関して評価制度がないこともあり、印象や採用担当者の直感で決まることも多いです。
特に以下の3つはよく見られていますので、詳しく解説していきます。
- コミュニケーション能力
- 前職での実績
- 転職理由・退職理由
コミュニケーション能力
上司の指示にしっかりと対応できる、高いコミュニケーション能力が求められます。
緊張せず話ができる、すぐに打ち解けることができるといったスキルではなく、相手が伝えたいことを理解し、質問に対して明確な受け答えができるかが大切です。
採用担当者からの質問に対して意図がずれた回答をしてしまうと、話をちゃんと聞いているのか、仕事の指示も間違った認識をしてしまうのではないかと不安に思われてしまいます。
相手の目を見てハキハキと明るく答えると、やる気がある、入社してからも簡単に辞めなそうと判断をしてもらえます。
前職での実績
実績を話すときは、数字を用いて具体的に伝えましょう。
例えば
といっても、採用担当には仕事内容がわからないため、イメージがわきづらいです。
というように、人数や期間を、数字を用いて具体的に説明することでよりわかりやすくなります。
実績が伝わりやすいだけではなく、自分の仕事を客観視できうまく伝えることができるという判断にもなります。
転職理由・退職理由
退職したということは、前職に不満があったりうまくいかなかったりしたということです。
退職理由のネガティブな要素をそのまま伝えるのではなく、ポジティブな理由に変換して伝えましょう。
「残業が多かった」「給料が低かった」などの理由で辞めたとしても、
「仕事量が多く毎日深夜の帰宅になってしまい、自己啓発に取り組む時間がなかった」
「自分の成果を評価してもらえる職場が良かった」などと言い換えて伝えてください。
「自身のスキルアップのために、もっと裁量が大きく挑戦しやすい職場で挑戦したかった」という理由でも良いです。
ネガティブな内容こそ、ハキハキと伝えることが大切です。
どんな質問にも、前向きに笑顔で回答しましょう。
面接でよくある質問と回答例
中小企業の面接のポイントがわかったところで、よくある質問と回答例を紹介します。
もっと知名度が高い会社がある中で、なぜ当社を志望したのですか?
採用担当者は、他社ではなくなぜ当社を選んだのかを気にしています。
そのために、具体的な理由を確認したいのです。
「知名度がないから入社しやすいと思われているのではないか」
「第一志望ではなく、内定を出しても入社しないのではないか」
と不安に思っています。
入社意欲の確認なので、貴社だからこそという理由を伝えましょう。
お手本の解答例
「大きな会社ではないが、非常に技術力が高くサービスの信頼度が高い」と伺っています。
私自身でも調べてみたところ、競合他社よりも技術力の向上に尽力されており、安心できるサービス提供の土壌が作られていると思いました。
それでも満足せず新規事業に挑戦しているという企業姿勢に、共に成長していきたいと感じたため志望させていただきました。
失敗解答例
業務内容が部署を超えたものになるかもしれませんが、大丈夫ですか?
中小企業では人数が少ないので、部署を越えて幅広い業務に携わることもあります。
急に欠員が出たら、自分の担当ではなくても手伝わなくてはいけません。
大企業ではある程度担当が決まっており、専門性の高い業務をおこなってきたケースもあります。
そのため、採用担当者は幅広い業務に携わることができるかを確認したいと思っています。
不安がある場合には、「業務内容についてお話を聞かせていただけますか?」と質問してみましょう。
どの企業も、企業独自の組織や仕事の進め方があります。
前職とまったく同じやり方で仕事をするわけではないので、不安があれば質問をしてください。
とりあえず問題はないと適当に答えてしまい、入社後にギャップを感じてしまうことを防ぎましょう。
お手本の解答例
もし可能であれば、社員の方がどんな業務をされているか教えていただけますでしょうか?また、入社前に身に付けておきたいスキルについても教えていただきたいです。
失敗解答例

中小企業に転職するメリット
中小企業に転職すると、大企業にはないメリットとデメリットがあります。
転職先に悩んでいるという方は、メリットとデメリットを理解して転職先を決める参考にしてください。
メリットは、以下の3つです。
- 幅広い仕事を経験できる
- アットホームな雰囲気がある
- 転勤や異動が少ない
それぞれ詳しく解説していきます。
幅広い仕事を経験できる
中小企業は人数が少ないため、配属された部署に関わらず業務を兼任しておこなうこともあります。
幅広い業務をおこないますので、会社全体の業務を把握することができます。
そのため、未経験の仕事にもチャレンジがしやすいです。
入社したばかりでも、自分の意見や希望を通しやすく裁量権も大きいのでやりがいを感じやすいメリットがあります。
アットホームな雰囲気がある
規模が小さいため、社員と役員との距離が大企業に比べて近いです。
大企業では役員と関わる機会は少なく、上司にも相談がしづらい状況があるかもしれませんが、中小企業は悩み事や相談を上司にしやすい環境にあります。
他の部署との距離も近いため、コミュニケーションを取りやすいです。
転勤や異動が少ない
大企業は、全国に営業所や支店があります。
教育や昇進のために、定期的に転勤や異動を定めている企業も多いです。
環境が変わってしまうと、新しい環境に慣れることも大変ですし、プライベートにも大きな影響がありますよね。
中小企業は営業所が少ないため、同じ環境で働きたい、転勤をしたくないという方は中小企業のほうが向いています。

中小企業に転職するデメリット
デメリットは、以下の3つです。
- 給与や待遇面が低い
- 研修や教育制度が整っていない
- 会社の安定性・将来性に不安がある
それぞれ詳しく解説していきます。
給与や福利厚生が整っていない
給与や福利厚生は、大企業に比べると劣ってしまいます。
特に、福利厚生での差が大きいです。
大企業は独自の年金や保険制度、家賃・食事補助、お祝い金の支給などの福利厚生が充実しています。
一人暮らしの方は特に、家賃や食事補助などの福利厚生は重視したいですよね。
ただ、中小企業によっては人手不足を解消するために、大企業よりも福利厚生を充実させている企業もあります。
また、大企業の子会社の場合には大企業の充実した福利厚生を受け継いでいる場合も多いです。
給与や福利厚生が気になる方は、求人情報や面接の際に確認してみましょう。
研修や教育制度が整っていない
大企業は採用や教育にある程度のコストをかけられます。
新卒採用に力を入れていますので、研修や教育制度が整っています。
しかし、中小企業は採用や教育コストに十分な資金をかけられないため、即戦力になりやすい中途採用が多い現状です。
未経験の業界や職種への転職の場合には、中小企業ではわからないことが多く苦労するかもしれません。
会社の安定性・将来性に不安がある
倒産やリストラのリスクは大企業よりも中小企業のほうが高いです。
大企業が倒産やリストラをしないわけではありませんが、中小企業は大企業に比べて資金力が弱いため不景気の変動で経営難に陥る可能性が高くなってしまいます。
倒産やリストラをしなくても、ボーナスカットや給与が減らされる可能性は、安定していない中小企業のほうが高いです。

中小企業の転職を成功させるには面接が重要
中小企業では、大企業よりも面接を重視しています。
学歴や職歴ではなく、印象次第で採用に繋がる可能性が高いです。
自分次第の部分が大きいので、大企業よりも面接対策に力を入れましょう。
中小企業の面接で特に見られているのは以下の3つです。
- コミュニケーション能力
- 前職での実績
- 転職理由・退職理由
特にこの3点に対策をおこない、どんな質問にもハキハキと答えられるようにしてください。