転職して出戻り社員として働くことは可能?
出戻り社員の実情
最近、一度辞めた会社に再び転職するという「出戻り」の風潮が高まってきているようです。
一昔前の日本では考えられないことでした。
基本的に終身雇用を前提としている日本企業では、転職すら珍しかったのですから、ましてや元いた会社にもう1度戻ってくるなんて、常識ではあり得ないという感じだったでしょう。
しかし近年では日本企業でも働き方や雇い方が柔軟になり、「出戻り」の傾向が浸透してきたように思います。
しかし、その実情はいったいどのようなものなのでしょうか。
馴染めるのか、批判を浴びないだろうか、不安や悩みがつきものですよね。
実際の出戻り社員や企業の声をもとに、その実情を見ていきましょう。
アンケートで分かった実態
アンケートによると、「出戻り社員として再雇用をしたことがある」と回答した企業は5~6割でした。
しかし「再雇用を制度として設けている」企業はたったの17%でした。
組織としての制度化はまだ追いついていないと言えます。
会社の意見は様々です。
プラスの声としては「大歓迎」「自社での経験も他社での経験も持ち合わせているのでいい人材になる」「自社を客観的に見てくれるので良い」などです。
一方マイナスの意見は「前の会社で問題を起こしたのではないかと心配になる」「身勝手だ」「戻ってくるならはじめから辞めなければいいのでは?」「あまりいい印象ではない」「また辞めるのではないかと信用ならない」などです。
ですが、これは、出戻りをする社員がどのような人となりなのか、どのように仕事をしてきた人なのか、そして既存社員の雰囲気や社風、部署の仕事内容等にもよるようです。
出戻りのメリット
出戻りの風潮が高まっているということは、デメリットよりもメリットが多いということなのでしょう。
どのようなメリットがあるのか見てみましょう。
即戦力になりやすい
まずは、「即戦力になる」ということです。
自社で働いた経験があるので、業務内容が大幅に変わっていなければそれを把握しているはずです。
そして会社の方針や理念といったこともわかっているので、それに沿った仕事をしてくれることに変わりはありませんし、ズレも少ないでしょう。会社側にとってもそういった類の教育をするコストを省けます。
さらには違う会社で働いた経験があるので、元の会社ではできない経験や得られないスキルを持ち合わせています。
そういう面でも、優秀な人材ということで即戦力になり得るでしょう。
人柄が皆にすでに知らているため馴染みやすい
次に、「会社がその人の人柄を既に知っている」ということです。
人柄を知っているということは、これから安心して新たに自社での仕事を任せられるのか、不在中に入ってきた社員と良い人間関係が築けるのかなどを判断する材料になります。
こういったことからも、通常の中途採用よりもスムーズに行えるでしょう。
新鮮な血液が流れる
さらに、「新たな知見が入り、会社が活性化される」ということです。
同じ業種・職種であったとしても、他の会社での経験があるということはかなりの力になるはずです。
新しいアイディアや知識、スキルを会社に提供することができ、既存社員に刺激を与えることができます。
そうすることで社員個人だけでなく、会社の成長にも繋がります。
出戻りのデメリット
メリットがあればデメリットもあります。
既存社員のモチベーションが下がってしまうことがある
デメリットとしてはまず、「既存社員のモチベーションが下がる」ということです。
一度やめた人がまた戻ってきて自分と同じ待遇で働いているということに対して、おもしろくないと感じる人は少なかずいるでしょう。
また、上でも述べたように再雇用に関してきちんと制度化されている企業はまだそう多くはありません。
ですからそういった企業では、給与やポイントに関してもちゃんとした規定があるわけではありません。
そのため場合によっては不公平感を生み出す可能性もあるのです。
キャッチアップが大変
次に「いなかった間のキャッチアップをしなければならない」ということです。
他社で働いていた間に多かれ少なかれ変化があったはずです。
人事に関していえば、新しい社員が増えたり、異動があったりして自分がいた部署のメンバーが変わって雰囲気まで変わってしまうこともあるでしょう。
そして年下の社員との立ち位置もなんだか気まずいものになり困惑するということもあり得ます。
また制度が変わって、今までの働き方や仕事内容が通用しないということもあるかもしれません。
そうなった場合には、また新しく人間関係を築いたり業務内容を覚えたりしなければなりません。
出戻りをする上で大事なこと
メリットもデメリットも踏まえた上でいろいろ考え、いざ出戻りすると決めたとします。
では出戻りをする上で大事なことといったらなんでしょうか。
まず出戻りして歓迎されることを期待しないということです。
自分は再雇用してもらえた嬉しさと新たな再スタートをきるというやる気で満ちているかもしれませんが、既存の社員の中には受け入れたくないと思っている人もいることでしょう。
そのため、自分は新参者だというくらいに謙虚な気持ちでいた方が無難でしょう。
また、スキルアップや新鮮なアイディアを持っていないと転職した意味がなく、そういう人を会社側も受け入れたくないはずです。
きちんと成長して戻ってきたことを成果として出すことが大事です。
そして二度の転職をしているわけですから、信用が低いということを念頭においておいてください。
その信用を取り戻すべく、仕事の実績や言動で示していって下さい。