未経験から商社に転職したい方が知っておくべき全知識
商社といえば、就活生や転職希望者の人気業界の筆頭で、三菱商事、伊藤忠、三井物産など名立たる企業が並ぶ業界ですね。
「今の仕事を辞めて、高給取り有名な商社に転職して勝ち組の仲間入りしたい」と考えたこともあるでしょう。
しかし、現実問題として未経験から商社への転職はハードルが極めて高いものとなっています。新卒育成の文化が色濃く残っている商社に中途採用で入るのは簡単なことではありません。
それでも、外資系企業の総務から総合商社に、中小メーカーの営業から専門商社に、といった転職に成功して年収をアップさせた事例が数多く存在します。
このページでは、未経験者が商社に転職し活躍するための方法をご紹介します。
最後まで読めば、あなたも商社に転職すべきかどうか、転職活動を成功させるやり方を分かるようになるでしょう。
商社の基本情報と市場動向をおさらい
商社とは、商いをする会社で、ものを仕入れて売る、商品の流れの全ての局面に関わるのが一般的です。
商社の仕事は、商材を売り手から買い手に流すトレードと、国内外の企業に対して成長事業に出資する事業投資が両輪となっています。
また、商社は大きく分けて総合商社と専門商社という二種類が存在します。それぞれ強みと弱みが異なりますが、基本的な違いは取り扱う商材が異なる点のみです。
商材が特定分野に集中しているのが専門商社で、分野関係なく幅広く取り扱うのが総合商社です。
すでにだいたい知っている方も多いと思いますが、総合商社と専門商社の基本情報を比較しながら、転職事情をまとめて確認していきましょう。
商社の基本情報
比較項目 | 総合商社 | 専門商社 |
---|---|---|
市場規模 | 約31兆1000億円 | 約41兆2000億円 |
労働者数 | 約28,000人 | 約98,000人 |
平均年齢 | 42.2歳 | 40.5歳 |
平均勤続年数 | 17.4年 | 13.4年 |
平均年収 | 約1,300万円 | 約580万円 |
上記の表からも分かりますが、総合商社と専門商社の市場規模はどれも途轍もなく巨大で、日本のGDPの1割以上を占めているほどです。
専門商社の従業員も数が多く、市場規模に見合った人数である一方、総合商社の場合は少ない人員で巨大な金額を動かしているため、1人当たりの取り扱い高や年収が高くなるのは必然的だと言えるでしょう。
高給取りと言われる総合商社の平均年収がサラリーマンの平均の3倍以上、専門商社も全業界の中で高い部類に入ります。
商社、特に総合商社に転職することができれば、年収アップを実現させる可能性が極めて高いと言えます。
業界全体を俯瞰した上で、アプローチすべき企業と接点を作ることが何よりも重要です。志望企業がまだ決まっていない方にこれから業界シェア上位にある具体的な企業名をまとめておきました。
業界シェア上位にいる企業
順位 | 企業名(総合商社) | 売上高(億円) | 企業名(専門商社) | 売上高(億円) |
---|---|---|---|---|
1位 | 三菱商事 | 20兆2,071 | メディパルHD | 3兆0,281 |
2位 | 伊藤忠商事 | 12兆5,515 | アルフレッサHD | 2兆5,764 |
3位 | 丸紅 | 10兆5,090 | 三菱食品 | 2兆3,830 |
4位 | 三井物産 | 10兆0,496 | スズケン | 2兆2,283 |
5位 | 住友商事 | 7兆5,027 | 日鉄住金物産 | 1兆9,308 |
上記の表では、総合商社と専門商社それぞれの業界シェア上位5位までの企業と売上高を確認できます。
資源安や事業投資のポートフォリオが異なるため、5大総合商社の売上にバラつきが出ています。また、専門商社の場合取り扱う品目が違うため単純比較できませんが、専門商社単体の売上は総合商社にとても敵わないことがわかるでしょう。
ここのあと、総合商社と専門商社それぞれの強みと弱みを簡単に解説していきます。
商社で働くメリットとデメリット
総合商社 | 専門商社 | |
メリット | ・ビジネスの自由度と規模が高い ・平均より2,3倍高い年収が貰える 各業界と広く浅く関われる ネームバリューがあり異性にモテやすい |
・特定分野に広い人脈が築ける ・専門的な知識やスキルが身に付きやすい ・顧客が近い |
デメリット | ・激務で残業が多い ・海外転勤が多くライフプランを立てにくい ・専門性が身につきにくい ・体育会系のノリに向き不向きがある |
・会社によって一概に高年収とは言えない ・専門分野の需要変動や市場縮小で悪影響を受けやすい(年収減のリスクが存在する) ・総合商社と比べれば自由度が低い |
商社への転職に有利な業種
商社ではモノの取引に関わる貿易の実務スキルだけじゃなく、事業投資で金融・ファイナンスの知識や経験が必要になります。
近年、異業種から商社への転職成功例が増えていますが、その方々の経歴を見るとほとんどが以下のいずれかに該当します。
- 外資系投資銀行出身
- 弁護士
- 米国公認会計士
- 資源関係企業出身
- 経理出身
未経験可と言っても、商社が欲しがっている前職の業種が確かに存在します。上記の経歴を持つ方なら、業界シェア上位の総合商社が十分狙えると言っても過言ではありません。
商社への転職でライバルと差が付く有力な資格とは
商社の事業範囲がとても広く、汎用的なスキルを重宝する業界の筆頭です。何かしらの資格やスキルがあると、商社の仕事に役立てる可能性が高いと言われています。
ここでは、「これを持っていれば商社の中途採用面接官の目に留まる!」といった転職を有利に働く資格をまとめておきます。
- 英語力が必須(TOEIC800点以上が望ましい)
- 中国語やフランス語、ロシア語もできると更に有利
- 日商簿記や公認会計士、ファイナンシャルプランナーなど金融・会計分野の資格
- 貿易事務や通関士など貿易分野の資格
- IT系の資格
このように商社への転職活動でライバルを差を付けられる資格はいくらでもあります。重要なのは、ただ資格を持つだけじゃなく、これからどうやって実務でそれを使っていきたいのかを過去の経験も交えてしっかり面接で言えるようにしておくことです。
そうすると、面接官も「お、この人は流されて資格を取ったのではなく、ちゃんと自分の考えを持っているね」と思ってくれるはずです。
商社への転職を成功させるコツ
商社に関する基本的な情報と有利な業種経験、資格をご紹介してきました。なんとなく商社への転職についてイメージできるようになったのでしょうか。
商社への転職を確実に有利にできる業種や資格があるといっても、それらの業種経験や資格を持っていないと商社への転職を断念すべきかというと、そんなことはありません。
資格は取得に時間がかかりますし、有利な前職経験を持っていないのは今さらどうにもならないことなのです。
ここでは、商社から内定獲得のチャンスを増やすためのコツやテクニックをご紹介します。下記のやり方を実践すれば、資格や業種経験を持っていなくても商社への転職成功確率を底上げすることができます
狙い目は総合商社の子会社や中堅商社
名立たる総合商社に未経験で転職するのは厳しいですが、地方の商社や中堅の専門商社なら人物本位で採用してくれる企業があるため、大手商社に転職できる自信がない方にとって穴場です。
とりあえず中堅クラスの商社に入り実務経験を積み、将来的に大手の総合商社に転職、といったキャリアアップを視野に入れた転職も良いでしょう。
大手総合商社は多種多様な人材を求めているため、なかなか企業のニーズに合わせて対策しにくいです。
また、新卒を一から育てる文化の総合商社での中途採用は、欠員補充目的がほとんです。例えばあなたは資源系の会社で目立つ実績があっても、応募する時に資源系の部署で欠員がいなければ、採用されない可能性が大いにあります。
しかし大手商社の子会社や専門商社なら、一つの業界に特化して事業を展開していることが多く、今までの業界とリンクすれば採用される可能性が高いです。
もしあなたは元々鉄鋼メーカーで働いたことがあり、たとえ特別な実績がなくても、鉄鋼についての知識が他人より優れているため鉄鋼系の専門商社が高い確率で採用してくれます。
女性なら事務職が人気
商社の事務職は他の業界の事務職よりも給料が高いことから非常に人気の職種です。一般事務職はきめ細かい事務処理能力が求められるため、女性に特に人気です。その中で、商社の一般事務職は群を抜いて倍率が高くなっています。
商社で一般事務職として働きたい女性の方は、事務職のエキスパートとしての実績などを的確にアピールしたほうがいいでしょう。
また、事務職の仕事そのものに対して意欲を持つことはもちろん、商社のビジネスへの興味も必須です。そうして商社の事務職なのか、その理由を面接できちんと言えるように準備しなければなりません。
商社に強い転職エージェントを活用する
インターネットや書籍で調べると、どうしても表面的な情報しか入ってきます。
誰でも簡単にアクセスできる情報源に頼り切ってしまうと、転職活動の方向を誤る可能性が極めて高いです。
総合商社の中で、どの企業が一番相性がいいのか、商社の仕事は激務だと言われるけどその実態など、深堀した情報を提供してくれるのは、やはり生の声です。
自分の友人や家族に聞くのはもちろん、もっと専門的に転職をサポートしてほしいと思うなら、転職エージェントへの登録が必須です。
特に歴史のある大手転職エージェントやハイキャリアに特化した転職エージェントは商社とのコネクションが強く、企業レベルに落としたきめ細かな転職サポートをしてくれます。
転職エージェントごとの詳しい情報は、下記のページでご確認ください。
一番重要なのはやはり実力と専門性を強化すること
今回は、商社の転職を成功させるために複数のアドバイスを行ってきましたが、少しでも参考になったのでしょうか。
商社から内定をもらうために、いろいろ細かいテクニックを実践するべきですが、それ以前に最も重要なのはやはりあなた自身がこれまでの仕事をしてきた中で身に付けた実力です。もし実績が商社の求めるレベルに到達していないなら、資格を取得して専門性でカバーしたり、転職エージェントにコンサルティングしてもらい経歴をブラッシュアップしてもらったりなど挽回するようにしましょう。
もし迷いを感じているなら、商社出身者のキャリアコンサルタントがたくさん在籍している転職エージェントに相談してみることをおすすめします。キャリアに近道は存在しませんが、強いて言うならプロの転職エージェントを味方につけることが商社に転職を考えたうえで一番の近道と言えるでしょう。
転職エージェントごとの詳しい情報は、下記のページでご確認ください。あなたが第一志望の商社に合格できるように、陰ながら応援しています。